第3章 改めて初登校。
ザワ、
ザワザワ・・・っ
歌い、終わった。
・・・うん、歌った。
あースッキリした・・・。
いやまだ赤髪さんの演目の熱の興奮が冷めやらないんだけれども。
うーん、やっぱり歌うのは好きだな。
踊りとか演技するのとかも良いけど、何よりも歌ってるのが1番好きだ。
「小童」
『・・・、あ。あい?』
「いい歌だった。
小童の、音楽への気持ちが篭ってた。・・・この俺ですらも、震えるくらいな」
『え・・・。あ・・・あー、どうも?』
「その歌に免じて、今回だけ特別に俺が逃がしてやる」
『逃がす?
え、何から逃げるん・・・ですか?』
「鬼龍くんの言う事を聞いた方が身の為じゃぞ、セツナくんや」
つい、とステージのすぐ下にやって来る朔間さん。
きょとんとする私にお構い無しに時間は進む。
そう言えばギャラリーが騒がしいな・・・とか、いつの間にかギャラリー増えてたな・・・とか思ってる間に赤髪さんにヒョイッと持ち上げられた。
それはもう、ヒョイッと。
うええちょっと待って私最近運動不足だから体重・・・!
って言う私の心配をよそに、赤髪さんは涼しい顔をしながら私を俵かつぎにした。
『うっわ天地逆転・・・ッ』
「舌噛みたくなきゃあんまり喋るな、小童」
『(いやこれ喋んなくても舌噛みそうなんですけど・・・!?)』
人生初の俵かつぎがまさか男装をした状況だとは。
なんでライブをするのか、何から逃げるのかすらも何も訳が解らない私は赤髪さんに文字通り運ばれた。
わー、空ってこんなに青くて広いんだなー。
雲が流れるの早いなー。
あれ、なんか誰かが捕まってるー。
遊園地のアトラクションにこう言う感じのあったよねー。
それにしてもすっごい速いなー。
とかなんとか脳内ツイッターで呟きながら、私はまたもや目的地が解らずに連行されるのだった。