第13章 聖なる夜に
好きだ、と思ったら、
もう気になって仕方ない。
常に目で追ってしまう。
よく観察?してみると、
島崎カナちゃんとだけは
顔を向けて、話をしてる。
「うらやましいなぁ…」
「ん。ナナ、どしたの。」
小学校から一緒のアヤカは、
クラスの情報をよく知っている。
「あー、高田ケイタ、花本ユウスケ、島崎カナは、小学校からずっと一緒だったみたいよ?」
そっか。
そういうのは強いよな。
カナちゃん、かわいいし
パッと目立つし、
みんなと仲良くなっちゃうし、
アクティブ!って感じだよなぁ…
「今日の日直誰だー?」
あ、先生が呼んでる。
「あ、私ですっ!」
「お、ナナミか、放課後、今日の提出ノート集めて、職員室に持ってきてくれ。」
「あ、ハイ。」
担任の黒滝先生は、入学式当日から
みんなを名前で呼んでる。
今の時代、セクハラ~とか
騒がれているのに。
でも、すぐにみんなと打ち解けた。
「…でも、さすがにちょっと重いなぁ…」
クラス30人分、厚いノートだから、
しっかり重い…
職員室の前に着いて、
両手が塞がってる事に気が付いた。
あぁ、片手は無理だよぉ…
下を向いて、ノートを持ちなおそうとしたら、
「開ければいいの。」
え。
パッと上を向くと
「は、花本ユウスケくん!」
「?…何でフルネームなの。」
フ‥、と小さく笑った。
職員室のドアを開けて、
私が持っているノートを、
全部抱えて職員室に入った。
「…黒滝先生のトコでいいの。」
「あ、うん、ありがとう。」
花本くんは、黒滝先生の机に
ドサッと置いて、すぐに職員室を
出ていってしまった。
私の事なんて、
もうすっかり眼中にないみたいだけど、
私は、無愛想な花本くんが、
さりげなく優しいユウスケくんが
大好きになった。