第13章 聖なる夜に
「え…嘘。」
新宿まで戻って来た。
中央線の長野方面は、今日は見通しが
立たないそうだ。
「そんな…。」
ユウスケに電話しなきゃ。
プップップッ…
『…お掛けになった電話は、現在…』
ダメだ、電源入っていない…
あ!
実家になら!
『あ、ナナミちゃん?』
安心した…
コウジさんの家にいるみたい。
良かった。
電車の中にいるのかと思った…
ピロン…
LINEが来た。
ユウスケからだ。
『今どこにいる?』
返信を打つ間も待たず
電話が掛かってきた。
『ナナミ!?』
「…ユウスケ…。」
『母さんから電話が来た。ごめん、電源切れてるの、忘れてた。』
ホッとした…
2週間ぶりの、ユウスケの声。
低いけど、優しくゆっくりした話し方。
「…ユウスケ、ごめんなさい…」
私は涙が出て来た。
『ナナミ?』
「ん…」
『明日、電車が動いたら、何が何でも行くから。家で待ってて。』
「わかった…」
『今、どこにいるんだ?』
「え、あ…家の近所。外だけど。」
嘘をついてしまった。
早く帰れ、と言われ、
ひとまず電話を切った。
良かった。
ユウスケに明日会える。
ユウスケが会いに来てくれる。
私は頬も心も温かくなった。
「さぁ、帰らなくちゃ。」
ふと、頬に何かが当たった。
夜空を見上げると、チラチラと
雪が舞い降りて来た。
「雪だ。」
私は、夜空に向かって、
手を差し出した。
田舎では見慣れたはずの雪なのに、
とても懐かしく思えた。