第13章 聖なる夜に
「あ~、信号トラブルだから、だいぶ待つよ?」
駅員のシュウゾウさんが頭を掻いていた。
「雪のせいじゃなく、信号か。」
僕は、待合室にドッカリ座った。
鞄からスマホを出した。
「ナナミ、今から東京に行くよ。」
LINEにメッセージを入れた。
スマホを眺め、写真の画像を眺めた。
ナナミと二人の写真はない。
付き合う事になってから、会ったのは、
たった一度。
秋の連休に一度帰ってきた。
その時には、照れ臭くて、
手も繋げなかった。
ましてや、二人の写真なんて。
だから、帰り際に
「…東京での、ナナミの写真送って。」
と、それだけ言うのが精一杯だった。
スマホの中の、ナナミの写真を眺めた。
友達に囲まれて、いつも笑っている。
時々、お父さんとの写真も送ってくる。
お母さんとの写真は、ない。
バタバタ…
「おい、ユウスケ!」
シュウゾウさんが駅員室から出てきた。
「ユウスケ、電車動き出したぞ。今、前の駅出たからな。」
「あ、意外に早かったですね。」
僕は、鞄を整理した。
「あ、ユウスケ。もしかしたら、途中止まるかもしれないぞ。何か食べ物とか買っとけよ。東京までは長いぞ。」
確かに。
僕はLINEを確認した。
まだ既読にはならない。
ひとまず駅前のスーパーに走った。