• テキストサイズ

僕の視線の先に

第11章 晩秋






「どう思う?父さん。」




腕組みする父さん。
下を向いている。



母さんは、台所にいるが、
僕の話は聞こえている。





「その、畠山さんと言う方は、何て仰っているんだ?漫画家になるには、どれがベストだと。」



世の中には、漫画家を目指す人は、
たくさんいる。
描いているだけで、なかなか
持ち込みが出来ない人もいる。
持ち込みしても、以前の僕のように
返される人も多い。
その中で、アシスタントをやる、って事は
チャンスだと思う。
この先、チャンスがどれだけ
目の前にやってくるか、
進路によって変わってくる。
ならば、一番環境が漫画一色の方が
チャンスは多いと思う。



畠山さんに言われた事、
すごく納得した。
確かに、環境はアシスタントの方がいい。
大学に行かない選択をする事にも、
未練はない。





「大学に行きながら、アシスタントは出来ないのか?そんなに早く社会人にならなくても、いいんじゃないか?」




「親としては、年相応に成長して欲しい。
まだまだ子供のお前が、いきなり大人の世界に入って、さらに人付き合いに距離を置いたりしないか?」





母さんが、台所から出てきた。



「私達、あなたの人付き合いが心配なのよ。大学で勉強もそうだけど、友達とも過ごして欲しいの。」





大学に行ったら、絶対描けない。
演劇部の先輩は、課題やら講義やらで
忙しくて、サークルの脚本が書けなくなり
僕が引き継ぐ事になった。
今や、そのサークルも、
現役高校生含めると50人位だ。
漫画を描きながら、脚本も書く。




決めた。





「父さん、母さん。ごめん。」




僕は、人生で初めて
土下座をした。






/ 162ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp