第7章 長い夏
「男子遅い!!!」
山本の家に着くなり、
カナが飛び出して来た。
「まだまだ十分時間あるだろー。」
山本は離れに荷物を置きに行った。
「…ケイタ、氷、冷凍庫に入れてくるよ。」
「おう、俺、離れの方、手伝ってくるわ。」
ずいぶんカナに会ってなかったから
どんな顔をしていいのか、
わからない。
「ユウスケ…」
後ろから、遠慮がちなカナの声がした。
「…なぁに。」
「浴衣…似合うじゃん。」
振り向くと、夕焼けのせいか、
カナの頬が染まっていた。
まだ、カナは私服だ。
「…そういう自分は、浴衣は」
「あ、私?私は、これから。料理とか準備したりするのに、動きづらいし。今、みんな順番に着付けしてもらってるよ。」
カナと台所に行き、冷凍庫に氷を入れた。
「…ユウスケ…」
冷凍庫に氷を入れる手が止まった。
「ん。」
「こないだは、ありがとうね!もう大丈夫だから!」
後ろを向いたまま、
冷凍庫を閉め、
言うだけ言って
カナは行ってしまった。
「そうか。」
何が大丈夫なのか、わからない。
台所の横の部屋から
着付けが終わった女子が
騒ぎながら出てきた。