第7章 長い夏
「やっぱりお父さんの浴衣じゃあ、渋すぎるわねぇ。」
「…別に構わないよ、浴衣なら何だっていいんだよ。」
「もぅっ、ユウスケったら、今日いきなり言うんだから…」
今日は8月8日。
毎年恒例のお祭り同窓会だ。
浴衣の事なんて、
すっかり忘れてたよ。
今朝に言ったもんだから
母さんは大慌てだ。
「やっぱりお父さんのじゃダメ!
コウジくんのとこ行ってくるわ。」
張り切って、従兄弟のコウジさんの
お店に出掛けてしまった。
隣町の呉服屋に勤務している。
「何でもいいんだけどなぁ…」
僕は縁側に寝転び、
金魚鉢を眺めた。
あれから、ケイタにも会ってない。
LINEで、今日の待ち合わせを決めた位だ。
カナからは、今日の詳細が
グループトークで来た位。
「…面倒だな…」
金魚鉢に、
そっと指先を入れた。
ひんやり気持ち良かった。