第19章 僕達の明日
車の中で、パパは黙っていた。
ただ、前を向いて、ハンドルを握っていた。
ユウスケは、パパに、私がユウスケの一人暮らしの部屋に出入りするのを、許してもらえますか?って、言ってくれた。
パパだって、わかってたハズなのに。
でも、怒っている訳でもないんだよね…。
「これは、預からせてもらってもいいかい?」
そう言って、パパは、ユウスケから鍵を
預かり、車に乗って、今に至る。
「ナナミ。」
パパが、重い口をやっと開いた。
「なぁに、パパ。」
「…ユウスケ君は、いい子…いや、いい男だな。」
パパを見ると、ちょっと嬉しそうだった。
「ちゃんとナナミの事考えて、自分の将来、今の自分をちゃんとわかっているんだな。」
ユウスケは、もうすぐ社会人になる。
社会人になる環境を整える為に、一人暮らしを始めたけど、そのお金は、ユウスケのお父さんから、お金を借りて、部屋を借り、家電なども揃えた。
ユウスケは、自分で働いて、すぐに返す、と。多分、1年はかかるかも。
「父さんのお金で、今の環境を作れた訳だし、そんな状態で、ナナに合鍵をあげられない。ナナのお父さんだって、嫌だと思うよ。だから、うちに、来るのも、お父さんに許してもらわないと…。合鍵はその先だな。」
ユウスケは、そう言ってた。
「合鍵は、パパがしばらく預かっている。明日、ユウスケ君に電話するからな。」
「うん、わかった。連絡しとくね。」
少し道の先に明かりが見えた。
おばあちゃん家は、もうすぐだ。
「パパ、ご飯食べた?パパと、おばあちゃんの分のビーフシチューも、作ったんだけど。」
私の帰るのを待っていた、おばあちゃんとパパと3人で、私が作ったビーフシチューを食べたんだけど、何となく、ユウスケも一緒に食べてるような感じがした。