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僕の視線の先に

第19章 僕達の明日




「なぁ、花本君って、彼女いんの?」



乾杯直後、藤守先生は、いきなり直球だった。


居酒屋で、僕の歓迎会を開いてくれたのは、
仕事開始初日だった。



「え、なになに、どんな子?」


アシスタントの輪島さんと森さんも、興味津々だった。






「遠距離恋愛かぁー。東京の私立の女子高でしょ?いいねぇ、お嬢様っぽくて。」




藤守先生は、髭についたビールの泡を
ペロッと舐めた。


藤守先生は、僕より5歳上だ。
大学在学中に、デビューをして、卒業と同時に今の連載が始まった。
雰囲気が、ケイタにも似ているが、もう少し大人…守山先生に雰囲気が似ている。


輪島さんも、藤守先生と同い年で、彼は、アシスタント専門で、デビューは考えていないそうだ。藤守先生とは大学からの友達で、アシスタントをしながら、小説を書いているそうだ。


「小説をまず世に出してから、藤守先生に漫画化してもらうんだよ。」


二人で、見合って、「なぁ!」と、肩を叩きあった。



森さんは、僕の3歳上。漫画家志望で、やはり藤守先生に憧れ、直談判して、アシスタントにしてもらったそうだ。



「藤守先生は、しばらくは輪島さんと二人で、やっていくつもりだったそうなんですが、僕が無理やり押し掛けちゃいました。」


森さんは、ほろ酔いで、僕に話してくれた。





「で、彼女はさ、卒業式もうすぐだろ?迎えに行くんだろ?カッコいいなぁー、羨ましいよ。」


いいねぇ、若いって。
いいねぇ、イケメンは、って、
藤守先生と輪島さんは、笑っている。


迎えに行く…?



考えもしなかった。
ナナがこっちに来る事しか考えていなかった。



「バッカだなぁ、お前。女は嬉しいに決まってんだろぉ?女子高の卒業式だぞ?」



藤守先生に、小突かれた。



「…これもネタ作りだと思え。自分で考えられない事も、やるのもネタの為だ。」



卒業式の日は、仕事に来たら許さん、しっかりネタを拾って来なければ、作業場には、一歩も入れない、と言われてしまった。


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