第19章 僕達の明日
去年まではパパにしか、あげてなかったけど、今年は、念願のバレンタインだったのに。あの、ユウスケに堂々と受け取ってもらえるのに…
でも、先月の今頃は、それどころじゃなかった。私も、かなりショックだった。
ずっと側にいた友達ではなかったけど、
お正月に、あんなに笑い合ったのに、本当に信じられなかった。
ユウスケや、カナは、それ以上…いや、想像出来ない位、ショックだろう。
単なる事故や病気ではない、内容が内容だけに、周りは、やりきれないだろう…。
「結局、パパにもあげなかったんだ、そう言えば…」
今日は、パパの好きなビーフシチュー作って、ケーキも焼いちゃおう。
パパと一緒に過ごせるのも、あと少しだし。
「よし、そうと決まったら、さっさと掃除を済ませて、買い出しに行かなくちゃね。」
さて、パパの部屋のシーツを洗わないと…
パパの部屋は、書斎と寝室2つある。
寝室は、ママと一緒だったけど、今は一人だから、書斎で寝てしまう事もあり、書斎に
布団が置いてある。ママがいない寝室で、一人で寝たくはないよね…
書斎に入り、窓を開けて、風を通す。
今日は、陽気も良く、心地いい風が入ってくる。
「すっかり春だなぁ…」
私は、パパの机の椅子に腰掛け、窓の外から、空を眺めた。
ふと、机の上にある写真立てが気になった。
「ママの写真…」
私とママとパパの3人の写真の横に、ママの若い頃の写真があった。
「今まで気が付かなかった…」
あまり書斎は入らないようにしていたから、
机の上を気にする事もなかったけど、今までなかったような…
やはり、まだママの事を忘れられないんだろうな…。
ママは、子供の私から見ても、憧れる。
料理だって上手。スポーツも万能。
頭だって、もちろんの事。
スタイルもいいし、特別美人ではないけど、
自信と幸せに満ちた笑顔で、周りを明るく楽しくさせてくれる。
正直、モテたと思う。結婚してても。
それでも、パパの事大好きで、とても仲良しだった。
でも、研究の仕事は別らしい。
「理解してもらうには、難しいかも。」
ママは、特に弁解はして来なかった。
ふと、ママが一人映る写真立ての裏に、何かが挟まっていた。
「手紙…?」