第15章 僕たちの行方
僕は今、隣街の総合病院に向かっている。
「父さん!もっと急いで!」
僕の心は尋常ではなかった。
心だけでも、病院に飛ばしたかった。
「ユウスケ、もうすぐだ。辛抱しろ。」
裏道、抜け道を駆使して、病院に向かってくれている。
信号の先に、総合病院の建物が見えた。
「…ケイタ!」
僕は、拳を握った。
「ユウスケ!!」
カナが病院の前で待っていた。
車を降り、振り返らず、病院に走り込んだ。
集中治療室の前に、ケイタの両親と、
部活の顧問と部活の仲間達が何人かいた。
ケイタのお母さんは、泣き崩れていた。
「カナ!」
何でこんな事に…
「今日のケイタ、具合悪そうだったんだよ…でさ…ユウスケには黙ってたんだけど…」
ケイタは、3年になってから、部活のコーチの林田から、執拗に精神的に暴力を受けていたらしい。
時に、身体的な暴力もあったらしい。
大学のスポーツ推薦、クラブチームからの誘いもあり、本来なら、指導者としては、誇らしい話だが、林田からしてみたら、妬ましい対象でしかなかったらしい。
そして、周りからも好かれ、頼られ、人望もあるから、妬みの感情が増長したのだろう。
カナの部活は、ケイタと同じ体育館で活動する事が多く、時折、後輩から噂話として、耳にしていた。
「本人に聞いたんだよ、本当の話?って。」
カナは泣きながら、顔を手で覆った。
カナに真相を聞かれたケイタは、
「そんな訳ないだろ。心配するな。」
笑いながら、カナの頭を撫でたそうだ。
元々、林田コーチは、ケイタの先輩だった。
それも、小学生のクラブチームにいた頃からの、長い間柄だ。
林田コーチの話は、僕も聞いていたし、一緒にご飯を食べた事もある。
兄のように慕っていて、コーチとして、先輩として、尊敬していたのも、知ってる。
ケイタ自身信じられないだろう。
言えないよな…
「ケイタの容態は?」
ケイタのお父さんの話だと、昨日から
具合がよくなかったらしい。
部の仲間の話によると、林田コーチに
頭を殴られていた可能性があると。
運ばれた時には、無数の痣が確認された。