第3章 ーおそまつの心はー
そういっておそまつくんは走り去っていった。
そして用紙を見ると「ははっ、情熱的な牽制だね。」
『松野ゆう』そう名前記入欄に書いてあった用紙を僕は折り畳まずに職員室に持ち帰った。
「いいんちょー!!」
叫びながら俺は探し回った、視線は気にならなかった。
三つ編みのおさげを俺は必死に探して走り回る、頼む、もし神様がいるのなら今だけ助けてくれよ。
今だけでいい、後は自分でなんとかすっからさぁ!
「いいんちょー!!」
おそまつさんの声が聞こえた気がした。
私は、さっきから発言を思い出しては後悔していた、私の気持ちをなし崩しに伝えてしまって合わす顔もないし・・・。
なにより、改めて答えを聞く事がすっごく怖かった。
声の聞こえた方を振り返って、何かかが走ってくるのが見える。
私は慌てて河川の下に急ぐ、お願い私に気づかないで。
明日になればきっとお互い普通に過ごせる、お互い何もない気の迷いだったんだと情熱が覚めるはず。
お願いだから、私の唇も熱くならないで、泣かないで、声が聞こえてしまうから。
ザッザッっと斜めの歩きづらい芝生を誰か降りてくる。
誰かなんて、もう私にはわかっていたのだけれど。
「いいんちょー・・・・ハァッ・・・ハァッ・・・みーつけたぁ・・・・はァ・・。」
一瞬にやっと笑って、おそまつさんは私の手を握る。
「だめじゃん・・・ハァッ・・・走る時は・・・俺と手を繋がないと。」
肩で息をしながらおそまつさんが続ける、ぽつりぽつりといつもの速度じゃない話し方が優しげに聞こえて私はまた目に涙が溜まってくる。
「まず・・・ごめんね?俺、焦っちゃってさ。いいんちょーの気持ち1番わかってるのは俺だっておれ・・・あつかましいけど思ってたからさ、俺も・・・・。」
両手でギュッと私の手を握って真っ赤な顔で私に向き直るおそまつさん。
「俺も、いいんちょー・・・・。ゆうの事好きだからっ!!」
そういって私の指に指を絡ませて恋人繋ぎになる。
「もう勢いに任せてゆうを悲しませたりしない!だって俺、ゆうのこと大好きだから!初恋だから!絶対にしがみつくから!だから・・・。」
「私も・・・ちゃんと言う・・・。」
「私も・・・おそまつくんの事!!」