第10章 lt laid the rail
ー松岡sideー
ぼんに知られてしまった。
お嬢さんとの関係を。
殴られる事を覚悟した私に…ぼんの掛けてくれた言葉は温かかった。温かく…厳しい言葉。
智「松兄」
「はい…」
智「正直に答えろよ。姉ちゃんの事…好きか」
「………はい」
智「だったら…こそこそしてないで堂々としろよ。今みたいな関係続けてたら…今はよくてもその内姉ちゃんの気持ちが離れてくぞ」
「………」
智「1番好きな人と…生涯添い遂げる事がさ…最高の幸せだとおいら思うな」
「ぼん…」
智「おいらは…出来なかった。出来なかったからこそ…その辛さも知ってんだ。だから…想い合ってんなら一緒になって欲しい。2人共おいらの大切な人だから」
「………」
智「姉ちゃんの事…頼めるか?」
「………」
直ぐには…返答出来なかった。
彼女を…愛してる。心から。
だからこそ…簡単には答えを出せない。
智「………」
「考えさせて…下さい。ちゃんと…考えますから。お嬢さんとの将来…背負える覚悟があるかどうか」
智「ん。分かった」
ぼんは…静かに頷いた。
智「松兄」
「はい」
智「もし断ったとしても…おいらは責めたりしないから。松兄と姉ちゃんの問題なんだから。ただ…中途半端は嫌なんだ。大事な姉ちゃんを弄ぶのは許さない。だから今までみたいな関係は止めろ」
「はい」
ぼんの言葉を噛み締めながら…俺は深く頷いた。