第10章 lt laid the rail
ー智sideー
「………」
ふと、暗闇の中目が覚める。
時計を見ると…まだ3時前。
「喉乾いたな…」
ベッドを降り、キッチンへと向かう。
シンと静まり返った廊下を伸びをしながらゆっくりと歩く。
「ん…?」
廊下を曲がった先から…薄明かりが漏れ、話し声が聞こえた。
確かあの先は…姉ちゃんの部屋…。
何となく…足を止め顔だけ覗かせた。
「………!」
智姉「また…来てくれる?」
松岡「………それは…」
智姉「私は…待ってるから。また…部屋に来てくれるのを」
松岡「………」
智姉「おやすみ昌宏さん」
そうして姉ちゃんは部屋の扉を閉めた。
扉を見つめたまま…佇む松兄の姿。
姉ちゃんと…松兄…。
おいらはその光景に…隠れるのを忘れて突っ立ってしまっていた。
松岡「………ぼん…!」
この世の終わりの様な顔をした松兄が…おいらの姿を見た瞬間、直立不動で固まってしまった。
「………ぷっ…」
初めて見る松兄の焦った顔に思わず笑ってしまう。
松岡「え…あ、あのぼん…」
「いいよ。部屋で話そうか」
笑いながらおいらは松兄の肩に手を置いた。