第10章 lt laid the rail
ー翔sideー
「え…?」
翔父「だからその日は明けておきなさい。くれぐれも失礼の無い様にな。影山。それまでに翔の服の準備を」
影山「承知致しました」
珍しく早めの帰宅をした父に呼ばれ…影山と共に書斎に入った。
「でも俺…内閣総理大臣と会食なんて…俺が…」
翔父「大丈夫だ。安部首相は気さくな方だから構えなくても良い」
「………」
翔父「何か不安でもあるのか?」
「いや…大丈夫です」
翔父「そうか。では一緒に行ってくれるな」
「はい。頑張って努めます」
「父さん…急にどうしたんだろう。」
影山「旦那様なりのお考えがおありになるのでございましょう。翔様も大学に上がられましたし…いいタイミングだと思われたのでは」
「うーん…」
部屋に戻り、ボスッとベッドに飛び込む。
影山「ベッドに上がるのはお着替えになられてからになさいませ。そういう所は幼い頃からお変わりになられませんね」
「いいじゃん…」
突然告げられた現役の総理大臣、安部首相との会食。
今まで誕生日パーティーやら、入学祝いやらで公の席に出る事はたまにあったけど…1対1の席に俺が呼ばれる事は今まで無かった。
しかも…初めての相手が総理大臣…嘘だろ。
「服…どうしましょう」
影山「新調なさられてはいかがでございましょう。1週間あれば…早急に準備出来ますゆえ」
「ん…分かった…」
影山「では明日お迎えに参りますのでそのままお店の方に参りましょう」
「はーい………」
影山「………翔様」
影山が優しい眼差しで顔を覗き込む。
「んー…?」
影山「自信をお持ちになられて下さい。自慢に思うからこそ…安部総理との会食に同行させるのではありませんか?」
「そう…かな…」
影山「翔様。翔様は立派なお人でございます。櫻井家のご長男として今までご立派にやられてこられたではないですか。旦那様はそれをご覧になられていた筈でございます。だからこそ…安部総理に会わせられたいのでございます」
「………うん。ありがとう影山」
影山にそう言われて…自信がついた気がした。
そうだよね。
きっと…そう思ってくれたから。
だったら息子として恥ずかしくない様に振る舞おう。
俺は…影山のお陰で自信を持つ事が出来た。