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雪の華【気象系BL小説】

第1章 夜明け前


「部屋に戻ってるから。組長帰るとき呼んで」


松岡「はい」


部屋に入り、またベッドに横になる。


ぼんやりしていると扉が開く音が聞こえる。


潤「へぇー…これがお前の部屋か」


「………何だお前」


潤「俺客だぞ。相手しろよ」


そう言いながらきょろきょろと潤は部屋を見渡した。


「はぁ…何だよもう…」


潤「美大に通ってるってほんとなんだな」


作業用の机に乱雑に並んだスケッチブックや粘土を触りながら潤が笑う。


潤「画家か何かでも目指してんのかよ」


「………関係ねぇだろ。あんま触んな。雑に扱うと壊れるから」


潤「ふん。俺に指図すんなよ」


出来かけの粘土細工を手に取り、おいらの方を振り向いた。


潤「回りが迷惑すんじゃねぇの?ヤクザの息子が通ってるって知ったら」


「言ってねぇから知らねぇよ。どっかの誰かみたいに大人数はべらせて闊歩したりしねぇしな」


潤「あ?」


潤の手に力が入り、粘土細工が潰れていく。


潤「ふざけんなよこのちんちくりんが。調子に乗ってるとぶっ殺すぞ」


「そのちんちくりんにボコボコにされて病院送りになったのは何処の誰だったかな」


潤「てめぇ…」


潰れた粘土細工が床に叩き付けられる。


潤「マジでムカつく…。極道のくせに美大なんかに通ってフラフラしやがって」


「どの大学に通おうと俺の勝手だろ」


潤「お前には負けない…松本組がナンバー1だ。譲らない。それに昇龍会の会長の座も…大野組なんかには渡さないからな!」


「………興味ねぇよ。なりたいなら勝手になれ」


潤「何だと!?」


潤が怒鳴ったと同時に部屋に松兄が入って来る。


松岡「松本のぼん。そこまでにして下さい」


潤「うっせぇ!指図すんなっつってんだろ!」


松岡「松本組長がお帰りですから。今日の所はお引き取りを」


潤「………ちっ…」


舌打ちをしながら潤は部屋を出て行った。
扉が閉まる瞬間、おいらを鋭く睨み付けながら。


松岡「ぼん。大丈夫ですか」


「あーあ…もうすぐ出来上がりだったのになぁ」


潰れた粘土細工を手に取りながら、おいらはため息を付いて項垂れた。
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