第8章 雅紀の告白
ー智sideー
「姉ちゃん!」
智姉「もう、驚かせないでよ。大丈夫なの?」
心配そうに病室に入って来る姉ちゃんと後に続く松兄。
「大した事無いって。もう帰れるからさ」
智姉「こんなに撃たれて『大した事ない』なんてよく言えるわね。普通だったら死んでるのよ!?分かってる!?」
「分かってるよぉ」
松岡「私が…ふがいないばかりで…」
「そんな事ねぇよ。松兄…本当ごめん迷惑掛けて」
松岡「そんな…」
おいら…どうかしてた…。
両手にまだ残る…銃の感触。
………何人…殺した…?
あの時は…太一への弔いだと思ってた。
でも…今考えれば…違った。
心から…嫌だった。
毎日執拗に追って来る松本組が…鬱陶しかった。
消えればいいと…心から思った。
殺しても…何も思わなかった。
極道の血…しっかり引いてるんだなおいら…。
智父「とにかく…出来るだけ派手な事は止めろ。いいな」
「………誰のせいだよ」
松岡「ぼん」
「誰のせいでこんなんなってんだよ!!」
おいらはたまらずに立ち上がった。
智姉「智!」
「全部父ちゃんのせいだよ!おいら別に組なんてどうでもいい!!普通の生活して好きな事して…好きな人と一緒に居たいだけなんだよ。なのに…それが出来なかったのは父ちゃんのせいじゃないか!!」
松岡「ぼん…」
病室が静まり返る。
「でも家の事は諦めてた…。この家に産まれて来たのは逃れられないから。それに…好きな事させてもらってた。大学も…感謝してる。だから家継ぐ事も…覚悟してる。でも…あの人だけは…違ったのに。どうしても諦めたくなかったのに…何でなんだよ。おいら…何もしてないのに!!父ちゃんのせいでこんな事になったんだ!!」
智父「………」
次の瞬間、頬に強い衝撃が来たと同時においらの身体はベッドに沈み込んだ。