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雪の華【気象系BL小説】

第8章 雅紀の告白


ー侑李sideー


あんなに荒れた大野さんを見るのは初めてだった。


俺がいつも見ていたのは極道で育ってきたとは思えない位温厚で…穏やかで…優しい人。


でも…今日の事で…やっぱり極道の人なんだな、と…痛感した。


そんなに…あいつと別れた事を引きずってるのか。
あんな奴…あんな奴なんかに…。
悔しい…。


でも今…大野さんに寄り添えるのは俺しか居ないんだ。


血塗れの大野さんを見ても…俺の気持ちは変わらない。


愛してる…。
俺の一生を…貴方に捧げたい。





「松岡さん。俺…今夜ぼんに着いてていいですか」


自室で仕事をしている松岡さんの元へと顔を出した。


松岡「構わないけど…お前1人で大丈夫か?二宮もまだ帰らないみたいだし…」


「1人で平気です。1人が…いい」


松岡「………お前のぼんに対する気持ちは分かってる。でも…分かってるな?自分の立場を」


「………はい。独り善がりなのは承知です。それでも…構わない」


松岡「………分かった。ぼんを頼む」


松岡さんが穏やかに微笑む。


「ありがとうございます。おやすみなさい」


松岡「おやすみ」


松岡さんに一礼して、俺は大野さんの部屋に向かった。










智「侑李。どうした」


「怪我の具合…どうですか?」


ベッドに寝転がる大野さんの隣に腰掛けた。


智「平気だよ。ちょっといてぇけどな」


そう微笑む大野さんはいつものほんわかした雰囲気だった。


「………オヤジとは…話されました?」


智「話したって無駄だよ。お前も見ただろ」


「………」


病室で…オヤジが大野さんを一喝した後、全員で止めに入った。
そのまま…オヤジは病室を出て一足先に戻ってしまった。


智「おいらも分かってるから。もう…いいよ」


そう微笑む彼が…痛々しくて…愛しくて…。


俺は顔を近付け、唇を重ねた。


智「ゆ、り…駄目だって」


大野さんが起き上がりながら俺の身体を引き離そうとする。


「側に居させて下さい…!」


智「………侑李…おいらは…」


「あの人の事想っててもいいです。俺はただ…貴方の側に居たいだけ…もう愛してなんて言いません…智さん…」


「………」


俺はゆっくりと…智さんを倒しながら唇を重ねた。
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