第8章 雅紀の告白
ー智sideー
何も感じなかった。
恐怖も…痛みも。
全てがどうでも良かった。
殺したいなら殺せ。
その代わり…殺せなかったら俺が殺してやるよ。
車に近付いて行く度に…肩や頬に…衝撃が走る。
でも…心臓や頭には当たらないみたいで。
………下手くそかお前ら。
俺が狙いを定めて撃つ度に…人が倒れて行った。
車は…3台。
辿り着く頃には殆どの奴等が頭から血を流して動かなくなっていた。
1番後ろに止まっていた車から数人が出て来る。
『てめぇ殺してやるよ!!』
「じゃあさっさと殺せよ」
後ろから松兄達の叫び声と足音が聞こえる。
そして何発かの銃声。
「ちゃんと当てろやボケが」
こめかみに1発…かすった程度に当たる。
血が流れ出した。
『くそっ…』
「へったくそだなぁ…こうやるんだよ」
『くそっ…!』
引き金をひくと…額の中心に綺麗に当たる。
そのまま膝から崩れ落ち、倒れた。
「勉強になったか?………ってもう死んだか」
松岡「ぼん!」
遅れて松兄達が走って来る。
「俺って上手いんだなぁ」
松岡「もう…戻りましょう」
「まだ残ってんよ」
後ろの車に近付く。
スモークのせいで中は見えなかった。
「居るんだろ?潤!!」
すると…ゆっくりと扉が開き、潤が降りて来た。
「よう腰抜け」
潤「………」
「もうお前1人か。だせぇ子分しかいねぇんだな」
潤「何だと…」
「俺さぁ…今機嫌悪いんだよね。帰ってくれる?出ないと………殺すぞ」
潤「………上等だ」
潤が銃を取り出し構える。
松岡「危ない!ぼんを守れ!!」
皆が俺の前に立とうとしたけど…俺は蹴り飛ばして潤の元に走った。
潤の動きが…スローモーションの様に見える。
どうしたんだ…今日の俺。
足や腕に走る衝撃。
逃げずにそれを受けながら…俺は潤に飛び蹴りを食らわし、覆い被さっていた。