第8章 雅紀の告白
ー翔sideー
いつからだろう。物心付いた頃には雅紀が隣に居た。
いつも明るくて笑ってて…雅紀の回りには自然と人が集まって来る。
天然な所もあって…雅紀と一緒に居ると必ずミラクルな事が起きた。
それに男らしい所もあって…女の子にもモテてた。
よく…見たな。
雅紀が女の子に『ごめんなさい』って言ってるとこ。
『何で彼女作らないの?』って聞いても…『好みじゃないしよく知らないから』って言ってた。
一度だけ…俺を含めた回りの盛り上がりで付き合った事あるけど…長続きせず。
どうしてだろうって…ずっと思ってた。
こんなに魅力的なのにって…。
でもそれは…ずっと…俺の事…思ってくれてたから?
『愛してる』
そう言われた。
あんな余裕のない雅紀の顔…初めてだった。
気が付けば今俺は…雅紀と…キス…してる。
俺の事…ずっと…想ってくれてた?
ずっと側に居たのも…こうやって慰めてくれてたのも…俺の事…好きだから?
俺は…他に好きな人が出来て…振られて肺炎起こす様な情けない奴なのに…そんな俺に…好きだって…言ってくれるの?
雅紀…。
気付けば俺は…目を閉じて雅紀の背中に手を回していた。
すると…ゆっくりと雅紀の唇が離れる。
「はぁ…」
雅紀「翔ちゃん…嫌がらないんだったらもう俺…止まんないよ?」
そう言う雅紀の顔は…雄の顔だった。
「ん、ぅ…」
再び重ねられる唇。
さっきまでの優しいキスとは違う…深いキス。
そのままぬるっと…雅紀の舌が入って来る。
「んん…」
俺は無意識に雅紀の服を掴んでいた。
「ふぅ…ん…」
雅紀の舌が…俺の口内でうごめいている。
舌を吸い…絡め…舐められる。
………智くんのキスとは…違うやり方だなと頭の片隅で思う。
「はふっ…」
ゆっくりと唇が離れると…力が抜けた俺は完全に雅紀にもたれていた。
雅紀「翔ちゃん…可愛い…」
首筋に顔を埋められる。
雅紀「俺達…付き合おう。きっと…きっと上手くいくから…だから…」
「雅紀…」
雅紀だったら…智くんの事忘れさせてくれるかもしれない。
雅紀の隣だと…俺はいつも笑ってられるから。
そう思った俺は…雅紀の胸に顔を埋めながら…静かに頷いた。