第8章 雅紀の告白
翔「わぁー…綺麗な景色…」
少し強めの風を浴びながら、翔ちゃんは笑顔で目の前に広がる景色を見つめていた。
翔ちゃんが退院する前日、翔ちゃんと俺は病院の屋上へとやって来た。
都心から少し離れたこの場所は屋上から見る景色が最高なんだと看護婦さんに教えてもらった。
翔「風気持ちいい…」
髪を掻き上げながら目を閉じる翔ちゃんの横顔は…凄く綺麗で…つい見とれてしまう。
「翔ちゃんが元気になって良かった」
翔「雅紀のお陰だよ」
にっこりと微笑みながら…翔ちゃんが俺の方を見つめた。
翔「雅紀が側に居てくれたから…こうやって笑えるんだ。昔からだけど…いつも何も言わずに側に居てくれてありがと」
「翔ちゃん…」
心臓が高鳴る。
翔ちゃん…そんな事言われたら…俺…。
翔「いつも雅紀に頼ってばかりで…何も返せなくて…申し訳ないと思ってる」
「………」
翔「俺に何か出来る事あったら…いつでも言って?まぁ…何の役にも立たなそうだけど」
クスッと翔ちゃんが笑う。
「雅紀が居てくれて…本当に良かった…」
その瞬間、俺の心が弾けた。
翔「ま、雅紀…?」
俺はそのまま翔ちゃんの腕を引き、その身体を抱き締めた。
「………好きだ…」
翔「………え…」
「好きだ…好きだよ。翔ちゃんが好き。ずっと好きだった…」
翔「雅紀…」
「俺の…側に居て…翔ちゃん…ずっと…ずっと側に…」
翔「………」
少し身体を離すと…大きな瞳を丸くさせながら…翔ちゃんは何も言えずに俺を見ていた。
「………愛してるんだ…翔ちゃん…」
翔「………俺は…」
「分かってる。翔ちゃんにとって俺は…幼馴染みで…親友で。でも俺は…親友だって思った事…ないよ…」
翔「………」
「愛してる…もう…限界なんだ。親友の仮面は…もうたくさんだよ」
俺はそのまま…翔ちゃんに顔を近付けた。
翔「ま、さ…」
綺麗な夕日を浴びながら…翔ちゃんの唇に…ゆっくりと自分のを重ねていった。