第8章 雅紀の告白
ー雅紀sideー
医者「38.3分…かなり下がりましたね。もう安心して大丈夫でしょう」
翔「本当ですか?」
「良かったねぇ翔ちゃん」
影山「ありがとうございます」
医者「でもまだ高熱です。無理は禁物。寝てないと駄目ですよ?」
翔「はい」
医者「薬も少し減らして…様子診ましょう」
影山「お伺いしたいのですが…入学式までには間に合うのでしょうか?」
医者「このまま容態がぶり返さなければ…大丈夫でしょう」
「良かったぁ」
翔「うん」
医者「それではこれで」
病室を出て行く先生に頭を下げる。
翔ちゃんが意識を取り戻してから…順調な回復をみせた。
思ったよりも早く退院出来そうで…安心した。
影山「私奥様にご連絡をして参りますゆえ…相葉さん。翔様をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい」
影山「では失礼致します」
影山さんが出て行き、病室には2人きりになる。
「良かった。もうすぐ退院だね。一緒に入学式も行けそうだし」
翔「うん」
俺を見て翔ちゃんは優しく微笑んだ。
「………おじさん…どうして一度も来ないのかな」
翔「………仕事忙しいんだよ。慣れてる」
翔ちゃんが倒れてから…おじさんは一度も病室には来てなかった。
家族以外は面会禁止だけど俺は特別に許可してもらっていたけれど。
でも…来るのは舞ちゃんと修くん。そして…義理の母親、桐子さんだけ。
「でもさ…息子が3日間も意識が戻らなかったんだよ。一度位…」
翔「いいの。影山が容態の報告してくれてたみたいだし今だって…。だから平気」
………身体は回復してるけど…心は回復してない。
昨日…やっと話してくれた。
翔ちゃんが…振られたって事。
相手はヤクザの息子で…付き合ってあっさり捨てられた。しかももう新しい恋人が居て。
それが…あの日俺達に暴言を吐きまくったあの男。
趣味悪過ぎるだろ…。
許せない。
翔ちゃんを弄んで捨てた。
でも…悔しいのは…まだ翔ちゃんはそいつが好きだって事…。
まだ時折…涙を流していた。
翔ちゃん…俺じゃ駄目なの?
こんなに…好きなのに。
俺だったら…そんな想い…させないよ。
俺の翔ちゃんへの想いは…もうはち切れそうになっていた。