第7章 極道の世界
雅紀「え…ここ…?」
門の前に佇み、雅紀は息を飲んだ。
雅紀「ここって…あれだよね…あの…」
「うん…」
大きな門の右上に設置しているカメラに視線を移す。
「お願い…」
智くん…来て…。
「雅紀…何も言わずに側に居て?」
雅紀「わ、分かった…」
ゴクリと息を飲む音が聞こえる。
見ると…微かに震えてるみたいだ。
でも雅紀は…おぼつかない俺をしっかりと支えて前を見つめてくれていた。
5分程すると…ロックを解除する電子音が鳴り、ゆっくりと門が開く。
そこに立っていたのは…智くん…では無かった。
侑李「………何の用?」
「あ…あの…智さん…は…」
侑李「だから。何の用かって聞いてんだよお坊っちゃん」
明らかな敵意を込めた瞳で…その小柄な少年は俺を睨み付けた。
「話がしたくて…でも…連絡…取れなくて」
侑李「それでそんな具合が悪い振りして来たの?『僕具合悪いんですー。だから会って?お願ーい』みたいな」
雅紀「翔ちゃんは本当に熱があるんですよ。そんな言い方しないで下さい」
侑李「あ?誰だよお前」
雅紀「翔ちゃんの友達です」
和「具合大丈夫ですか?」
黙って横に立っていた確か…二宮さん?が…口を開く。
「平気…です。お願い…彼に会わせて下さい…」
和「………申し上げ難いですが…ぼんに言われたんです。『追い返せ』と…」
「………そんな…」
侑李「そういう事。だから帰ってくれる?迷惑なんだよ」
和「申し訳ありません。お帰り頂けますか?何か伝言があるならばお伝えしておきますから」
「直接逢って…話したいんです…」
和「ぼんが『逢いたくない』とおっしゃってるもので…少なくとも今日は無理です」
侑李「永久に無理だよ」
和「知念さん…」
侑李「本当の事だろ?」
そして知念さんが…俺の目の前に立った。