第7章 極道の世界
ー翔sideー
智くん…。
会いたいよ…。
ベッドの中でも頭の中は…彼の事ばかり。
どうして…いきなり振られたんだろう。どうして…。
別れる位なら組を継がないって…俺の前でお父さんに言ってくれたのに…。その1時間後には別れるだなんて…おかしいよ…。
何か…何かあったとしか思えない…。
………そうだよ…。
きっと理由がある筈だよ。そうでなきゃあんな事言わない。
智くんを…信じたいよ…。
「げほっ…会いたい…智くん…」
ベッドを抜け、クローゼットを開いた。
智くんに会おう…。どうせ振られるなら…直接言って欲しい。
頭がくらくらする…。寒い…。
俺は身体を奮い起こしてクローゼットから服を引っ張り出した。
「行かなきゃ…智くんに会いに…」
その時…部屋をノックする音がして俺は振り返る。
雅紀「お邪魔します…って…翔ちゃん?何してんの!?」
顔を覗かせた雅紀が慌てて部屋に入って来る。
「雅紀…」
雅紀「熱あるんでしょ?寝てなきゃ駄目だよ。何で着替えなんて…」
「お願い…雅紀…ちゃんと話すから…俺を…連れてって…」
雅紀「今は駄目だよ。熱下がってからじゃないと。それからでもいいでしょ?春休みなんだし」
雅紀が俺を支えながらクローゼットの扉を閉める。
「お願い雅紀…。今すぐ逢いたいんだよ…お願い…」
両腕で雅紀にしがみつきながら懇願する。
雅紀「翔ちゃん…」
「お願い…」
雅紀「………何処に行くの?」
クローゼットの扉が再び開かれた。