第7章 極道の世界
ー侑李sideー
休みだというのに大野さんは部屋から出て来ない。
松岡さんから…あの恋人と別れたらしいと…話を聞いた。
当然だ。あんな奴…大野さんには不釣り合いなんだ。
何処の誰だか分からないけど…いかにも金持ちの世間知らずのお坊ちゃんな男。
ただちょっと可愛い顔してるだけじゃないか。
ボケッとして大野さんに守られてるだけの奴…迷惑だよ。
………心配なのは…あんな奴でも大野さんは好きだったんだ。
部屋に籠ってるのは…落ち込んでるんだろう。
慰めて…あげたい…。
俺は大野さんの部屋に行き、ドアをノックした。
智「はいよ」
………思ったより…明るい返事が返って来た。
「………失礼します」
俺はゆっくりと扉を開いた。
智「侑李。どうした?」
大野さんはテーブルに座り粘土をこねていた。
「大野さん…」
智「どうした。誰かに様子見てこいとか言われたか?」
「いえ、そんな…」
智「平気だよ。付き合い始めたばかりだったしなー。直ぐに忘れるよ」
「………」
嘘つき。嘘だって分かるよ。
だって俺は…貴方を愛してるから。
よく…分かる。
「大野さん…」
俺は大野さんの背中に抱き着いた。
智「どうした侑李」
「………愛してます…」
智「………」
「あの人の事…忘れて…」
彼の手が伸び、俺の手を握った。
智「駄目だよ」
「大野さん…どうして…別れたんでしょ?」
智「うん」
「だったら…」
智「まだ好きなんだ。翔くん以外の事…考えられない」
「そんなに…好きなんですか…」
智「うん。ごめんな」
「俺の方が…大野さんの事愛してるのに…」
悔しくて…涙が溢れてしまう。
智「侑李にもきっと…おいらなんかよりもっといい人見つかるよ」
「そんな簡単に言わないで!貴方よりいい人なんてっ…!」
智「うわっ…」
俺は大野さんに抱き着き、そのまま押し倒した。