第7章 極道の世界
影山「38.5分…ですか…」
体温計を見つめながら影山が唸る。
「へーき…たいした事ない…」
影山「その様なガラガラ声で何をおっしゃいますか。きっと大野様の事で…布団に入らず泣き続けていつの間にか寝てしまったというオチでございましょう」
「う…」
影山「春休みである事がせめてもの救いでございましょう。熱が下がるまでゆっくりと休まれて下さいませ」
「でも…雅紀に連絡しなきゃ…」
影山「私が連絡しておきますゆえ。お休み下さいませ」
「………はい…」
影山「後でお薬をお持ちします。では」
一礼して影山が部屋を出て行った。
「………はぁ…馬鹿だな俺…」
天井をぼんやりと見つめながら溜め息をつく。
「雅紀に…知らせるつもりだったのにな」
親友に…恋人が出来た事今日知らせるつもりだったのに…。
その前に振られてしまった。
「っっ…ぐすっ…智くん…」
ぽろぽろと…枯れたと思っていた涙が再び頬を伝った。
昨日までの…あの幸せな日々は…嘘だったの?
嫌だよ…信じたくない…智くん…。
会いたい…智くんに会いたい…。
「ひっく…ぅっ…智…くん…」
枕に顔を埋め、声を上げて泣いたのだった。