第7章 極道の世界
「………父を…知ってるんですか…?」
智父「………」
一度立ち上がったお父さんが…また静かに座り直す。
智「父ちゃん?」
智父「こんな仕事だからな…警察のトップの連中はよく知ってる。特に君の父親は…暴力団の撲滅に力を入れてるからな」
「………」
確かに…。
いつの頃からか…父さんは元々担当では無かった暴力団の撲滅に力を入れていた。
俺にも…暴力団がいかに社会の屑か、社会の底辺か、俺によく解いて来た。
それを聞く内に…俺も何となく…そうなのかなと思う様になって。
でも…智くんに出逢った時にきっとそれは掻き消されたんだ。
極道だって事が分かっても…こんなにも愛しいのだから…。
智父「君が…櫻井俊の息子なら…尚更だ。普通の生活に戻りなさい。極道の息子と警視総監の息子がそんな関係だと世間に知られたらどうなるか。彼の仕事にも影響するんだぞ」
「父は関係ありません…!」
智父「君がそう思っても回りはそう思わない」
「でも…」
智「父ちゃん。そんなに悪い事なのか?おいら達…」
智父「私の考えは今言った通りだ。今日はもう帰りなさい」
「………」
智父「松岡。お前がお送りしろ」
松岡「はい。失礼します」
頭を下げて松岡さんが部屋を出て行く。
智「………おいらも送るよ」
智父「お前は残れ。話がある」
智「は?」
智父「残るんだ」
智「何だよ!おいらは…」
「智くん…平気だから」
喧嘩腰になってる智くんの腕を掴み、立ち上がる。
「お父さんと…話して。ね?」
智「翔くん…」
「今日は…お邪魔してすみませんでした。ご迷惑お掛けしたのに…送って貰い…ありがとうございます」
俺はお父さんに頭を下げる。
智父「本当に…しっかりした良い子だな君は。勿体無いよ」
「そんな事…ありません。失礼します」
智父「智」
智「車まで送るから。それ位いいだろ」
俺と智くんは…手を繋いで外に出た。