第7章 極道の世界
ー智sideー
部屋に入ると…父ちゃんは静かにお茶を飲んでいた。
翔「失礼します」
翔くんが入口で父ちゃんに頭を下げ、部屋に入って来る。
後ろから松兄が続いた。
翔「櫻井翔と申します。本日は挨拶もせずに勝手にお邪魔してしまい申し訳ありません」
智父「………随分しっかりした子だな。まぁ立ちっぱなしも何だから…座りなさい」
「はい。失礼します」
また頭を下げて翔くんは座布団の上に正座した。
智父「初めてだよ。智が好きな子を家に連れて来るなんて」
「怪我したからだよ。こんな家だからしばらく連れてくるつもりはなかった」
智父「そうだった。松岡から聞いたよ。君を巻き込んでしまった。危険な目に遭わせてしまってすまないな」
翔「いえ…守って頂きました。それに俺が居たから…智くんに迷惑かけて」
智父「迷惑をかけたのはこっちだよ。極道だと分かってたとは思うが…怖い思いをさせたね」
翔「大丈夫です」
智父「さて…本題はここからだ。今からは…厳しい事も言わせてもらう」
父ちゃんの目付きが変わった。
智父「智は…この組を継ぐ事になる息子だ。いずれは結婚して…後継ぎをもうけて貰わないといけない。分かるね」
翔「………はい」
「父ちゃん。そんな話は止めろよ。おいら翔くんと別れるつもりはないぞ」
智父「だったら大野組はどうする。お前のわがままで組を潰す訳にはいかない事位分かってるだろう」
「継ぎたい奴に継がせりゃいい。おいら継げと言われたら継ぐけど…翔くんと別れなきゃいけないなら継ぐ気はない」
松岡「ぼん」
「おいらこの人と一緒に居たい。それだけだ」
智父「だったら…別れろとまでは言わない」
「は?」
智「妾にでも何にでもするがいい。結婚して組は継いでもらう」
「父ちゃん!!」
たまらずおいらは立ち上がってしまった。