第6章 Oasis in the desert
本宅から少し離れた普段はあまり使われていない倉庫に大野組のほとんどの組員が集まっていた。
おいらが着いた時には入口の外にまで組員達が溢れてて。
『ぼん』
おいらの存在に気付くと組員が道を開ける。
「………」
おいらは深呼吸をすると…ゆっくりと倉庫の中に入った。
長瀬「ぼん…」
先頭に居たのは若頭補佐の長瀬。
泣きそうな顔でおいらを見つめた。
「………本当…なのか?」
長瀬や周りに囲まれた床の中心にある…血の付いた半透明のビニール袋。
そこから放つ何とも言えない異臭が倉庫に充満している。
長瀬「はい…靴と…ネックレスがいつも太一くんが身に付けてるやつで…それに昨日の夕方から誰も彼を見てません。連絡も…取れない」
「………」
中腰になり…ゆっくりとビニール袋を広げた。
「っっ…!」
皮膚か服か区別も付かない程真っ黒に焼け焦げたそこから覗く髪の毛。
焼けた後にやったんだろう。
切断面は綺麗なピンク色だ。
小振りのビニール袋に乱雑にゴロゴロと死体が入れられていた。
侑李「どうして…太一さんが…」
侑李は顔を真っ赤にして泣いていた。
二宮「………松本組…」
二宮がぽつりと呟く。
「まだわかんねぇだろ」
侑李「きっとそうに決まってます!こんな事するの…あいつらしかいない!!松本だったら絶対やる!!」
松本組を口にした途端、組員達が騒ぎ始める。
『やり返してやる!!』
『ぼん!やりましょう!!』
『俺がやる!!』
「騒ぐなお前ら!!!」
おいらが一喝すると…一気にシンと静まり返った。
「ここで俺達が騒いだら相手の思うツボだろうが!!むやみに熱くなるな!!」
長瀬「ぼん。でも…」
「やり返したらあいつらと一緒じゃねぇか!!そんな事…俺は絶対嫌だ!!」
松岡「………ぼん…」
「………俺だって…絶対許せねえよこんな事。でも…やり返すなら別の方々考えろ。皆で考えるんだ。松本組と大野組はやり方が違うんだから」
長瀬「………はい」
長瀬に続いて周りが深く頷く。
「まずは…太一を…ここから出してやろう。ちゃんと綺麗にして…供養してやろう。な」
『はい!』
全員が拳を握り締め、俺に賛同した。