第6章 Oasis in the desert
ー智sideー
「ぐぅ…ぐぅ…」
………誰かがおいらを呼ぶ声がする…。
………翔くん?
………いや…違う。翔くんみたいな…透き通る様な綺麗な声じゃない。
もっと…こう…。
翔くん…翔くんは何処だ…?
和「大野さん起きて下さい」
「………ふぇ…」
ぱちりと目が覚めると…そこにいたのは二宮だった。
和「おはようございます。よく眠れてましたね」
「んー…はよ…どした…」
和「朝食が出来たのでお呼びに。知念さんが食事当番だったので私がここに。今日も大学に行かれるんですよね?急がれた方が…」
「うん…ありあと…ふぁ…」
ベッドを抜け、ゆっくりと伸びをする。
「二宮。ここにはもう慣れた?」
和「そうですね…皆さんいい人ばかりで」
「そうかぁ」
和「私が想像していたヤクザの世界とは違ってました。皆さんのほほんとしてて…仲良くて…まるで昇龍会を継ぐ自覚が無い様な…」
「んぅ?」
和「あ、いや…すみません…」
「いいよぉ。確かにおいらも最近自覚してきたから。他の組とは空気がちょっと違うって。例えば…松本組とかさ…」
和「………」
「おいらは昔から皆と仲良くしたかったから。ワイワイ騒がしい事もあったりするけれど…家族みたいに思ってる」
和「………成る程。じゃあ…誰か1人でも欠けたら…」
「そりゃ悲しいよ」
和「そうですか…」
「二宮?どうし…」
その瞬間、バァンと勢いよく部屋の扉が開かれた。
「おわぁ!」
松岡「ぼん!大変です!!」
血相を変えた松兄が部屋に飛び込んで来た。
「な、何だよ松兄…」
松岡「今倉庫に…とにかく早く来て下さい!!」
「はぁ?うわっ、ちょっ…!」
返事を待たずにおいらは松兄に引っ張られた。