第5章 Ardent Love
ー翔sideー
「え…デート?」
智『うん。おいらも大学春休みだし…駄目かな?』
「ううん。行きたい!」
智『良かった。何処か…行きたいとこある?』
「智くんと一緒なら…何処でも良いよ」
智『んふふ。そっか』
「楽しみ…早く逢いたいな」
智『おいらもだよ』
「ふふっ」
扉が開き、影山が入って来る。
「じゃあ…明日また連絡するね」
智『おう。じゃあね。おやすみ』
「うん。おやすみなさい」
電話を切り、俺は影山を見つめた。
影山「大野様ですか?」
「うん。デートしようって」
影山「デート…でございますか」
「うん」
影山「………」
渋い顔をして影山がコーヒーをテーブルの上に置いた。
「………どうしたの?」
影山「………ひとつだけ…心配な事が」
「何?」
影山「………噂では…関東昇龍会は今…跡目争いの抗争が起きているとか。うかつに外出なされるのは危険かと」
「そう…なの?」
影山「翔様」
「うん…?」
影山「極道というのは…我々が想像するより遥かに危険で…命懸けの世界です。関東昇龍会とは…関東のヤクザを牛耳る…いわゆる関東のヤクザのドンでございます。大野組は…その昇龍会の会長候補だといわれております」
「影山…詳しいね」
影山「つまり…1番危険と隣り合わせだという事。そこの跡取り息子となれば…」
「俺の事心配してくれてるの?」
影山「当たり前でございます!もし翔様が巻き込まれでもしたら…」
「ありがとう。でもね影山」
影山「………はい」
「こんな気持ちになったのは…初めてなんだ。初めて逢って…直ぐにキスして…好きになって…気付いたらもう…何も考えられない位好きになって…こんなの初めてなんだよ」
影山「………こんな事は言いたくありませんが…旦那様に知られたら何と言うか…」