第5章 Ardent Love
ー翔sideー
信じられなかった。
あの人が目の前に居る。
逃げてしまったけれど…ずっと逢いたかった彼が目の前に居る。
智「………ずっと…逢いたかったんだ。君に。まさかここに居るなんて…」
彼の手が…俺の頬に伸びる。
「………俺だって…逢いたかった…」
智「………本当に?」
「うん…何でだろう…10分位一緒に居ただけなのに…俺…俺貴方が…」
智「好きだよ」
その優しい垂れ目が…余計に下がる。
智「君が好きだよ。理由なんてない。おいら…君が好きだ。さっき君を見かけて…確信したんだ」
「俺も…好き。貴方が…好き。大野智…さん…」
智「おいら…結構面倒臭いよ。色々」
「俺だって…」
智「いい?」
「どうでもいいよ。どうで…」
言葉を遮る様に彼の唇が俺のに触れた。
「ん…んん…」
初めての時とは違う…深いキスをされた。
「はぁっ…ん…」
滑り込んで来る彼の舌に…俺は自然に自分のを絡めた。
身体の芯が熱くなる。
頭から爪先までが…痺れる。
こんなキス…初めて…。
ゆっくりと糸を垂らしながら…唇が離れる。
「はぁ、ん…」
まだ…足りない。
もっとキス…したかった…。
智「色っぽい顔…してる」
俺の唇に付いた唾液をぺろりと舐めながら彼は微笑んだ。
智「名前」
「え…」
智「おいら…君の名前知らないんだよね。こんなに好きなのに」
ふにゃと笑いながらまたちゅっとキスされる。
「翔…です。櫻井翔…」
智「翔くんか…。何でおいらの名前…君は知ってたの?」
「それは…。あの時…貴方に逢う前貴方を探してる人が居たんです。『大野智を探せ』って。それで貴方に逢った時…『智』って呼ばれてたから…」
智「あー…あいつらか」
「………あいつら?」
智「………翔くんにさ…話しとかなきゃいけない事があるんだ。本当ならこうなる前に話さないといけなかったんだけど…我慢出来なくてごめん」
ゆっくりと彼が俺から離れる。
「………何?」
智「君は…警視総監の息子だよね。おいらは…君とは真逆の場所で生きてきたんだ」
「え…?え!?ちょっと…」
そういうと彼が…自分の服に手を掛け、するする脱ぎ始めた。
上半身裸になった時…俺は自分の目を疑ったんだ…。