第4章 それぞれの想い
ー雅紀sideー
「いやー気持ちよかったー。本当温泉みたいだなぁあの風呂は相変わらず」
頭を掻きながら俺は翔ちゃんの部屋に入る。
翔「今日も泳いだ?」
「もちクロールで!」
翔「ははっ。修が真似するから…」
「んふふ。しかし久し振りだなぁ。翔ちゃん家に泊まるの。良かったの?」
翔「いいよ。父さんは雅紀の事気に入ってるから」
にっこりしながら翔ちゃんは布団に座る。
「じゃあ今日は語っちゃいますか?」
翔「そうしましょう相葉さん」
翔ちゃんが俺に向かって親指を立てる。
「うりゃー!」
ベッドの上の翔ちゃんに思いきり飛び込んだ。
翔「あっはっは!止めれー!」
楽しそうに翔ちゃんは声を上げて笑った。
「翔ちゃん…寝た?」
真っ暗な部屋の中、俺はベッドの上の翔ちゃんに声を掛ける。
午前3時。
翔ちゃんの返事は無い。
俺は布団から起き上がり、ベッドに肘を付きながら翔ちゃんの寝顔を見つめる。
「寝付き良いなぁ相変わらず。10分前に電気消したのに」
ベッドの中で翔ちゃんは可愛い寝顔を俺に向けていた。
「翔ちゃん…」
翔「すぅ…すぅ…」
そっと髪を撫でながら、俺はゆっくりと顔を近付ける。
その柔らかい唇に…ゆっくりと自分のを重ねた。
「ん…」
ぴくりと翔ちゃんの唇が動く。
俺は軽く唇を舐めながらゆっくりと離した。
何度目か分からない。
眠ってる翔ちゃんにキスするのは…。
翔ちゃんは知らないけど…翔ちゃんのファーストキスの相手は俺なんだ。
小学生の時…今日みたいなお泊まりで俺は翔ちゃんの唇を奪った。
「好きだよ…翔ちゃん」
友情が壊れるのが怖くて…自分の気持ち伝える勇気も無いくせにこんな最低な事して…。
でも…気持ちは変わらなくて。
「ごめんね翔ちゃん。好きだよ」
眠っている翔ちゃんを抱き締めながら俺は何度も呟いた。