第24章 番外編ー修と智宏ー
智宏「君って思ってたより大人だな…」
「そう…?」
智宏「絶対許さないって…喚いて暴れるかって思った」
「ぷっ…何だよそれ」
智宏「ごめん」
笑いながら…ゆっくりと坂を歩いていく。
坂を上がった所から裏へ回った。
「ここか…」
智宏「うん」
そこは…15年前、2人が命を落とした場所。
大野智が通っていた大学の…講堂の裏。
兄さんの親友だったまー君に聞いた事はあったけど…来る勇気はなかった。
見たく…なかった。
でも…智宏が一緒なら、見れる気がした。
見たいと思った。
兄さんが…人生を終えた場所を。
天国に…昇った場所を…。
持っていた花を…裏口の片隅に置いた。
「兄さん…どうか…幸せにね…」
すると…講堂からピアノの音が聞こえる。
「綺麗な曲…」
それは…昔聞いた事ある様な、綺麗で…そして少し切ない様な曲。
智宏「そう言えば…来週学祭だって通りすがりの学生さんが言ってた。昔来た事のある歌手がまた来るんだって…」
「そうなんだ…」
智宏「なぁ。ちょっと聞いてみねぇ?」
「え?」
智宏「多分そこ裏口じゃね?」
「え、ちょっ…!」
俺の手を引きながら、智宏は目の前の小さな古い扉を開けた。
吸い込まれる様に…そこに入って行った。