第24章 番外編ー修と智宏ー
頭が着いて行かない。
父さんが…兄さんにそんな事を…。
父さんは…厳しいとこもあったけれど…優しかった。
『自分の生きたい様に生きなさい』
『私の後を継ぐ必要はない』
それが父さんの口癖だった。
それは…兄さんの事があったから?
父さんのせいで…兄さんが死んでしまったから…贖罪のつもりだったの…?
部屋に籠り、机で頭を抱えていると扉が開いた。
「影山…」
影山「修様。飲み物お持ち致しました」
「あ…ありがとう」
机に置かれた飲み物を一口飲んだ。
「影山」
影山「はい」
「兄さんは…父さんの事…恨んでるのかな…」
影山「………何故でございましょう」
「父さんは…兄さんを力で抑えてた。好きになった相手が男だから…ヤクザのだから…そんな理由で…。そのせいで兄さんは…」
影山「修様」
「影山…どうして…」
影山「旦那様のせいだけではございません」
「え…」
影山「私のせいでもございます」
「影山…」
影山「私は…翔様と…大野様が結ばれる様にと…翔様に手助けをしておりました。しかしそれが旦那様の耳に届き…私は解雇になり、旦那様は余計に翔様を束縛する様に…」
俺は…驚いて目を見開いた。
影山…影山がそんな事をしていたなんて…。
「………」
影山「修様」
「何…?」
影山「もし旦那様が翔様と大野様の事を認められていたならば…もしかしたらお2人は命を落とす事は…無かったのかもしれない。でも…翔様は…幸せでした。私はそう信じております」
「………」
本当に…そうなのかな…。
俺は…どれだけ言われても…どうしても…影山の言葉が信じられずにいた。