第24章 番外編ー修と智宏ー
舞「修。あんた父さんと喧嘩したんだって?」
「別にしてないよ」
その日の夜。
姉さんが久し振りに帰って来た。
舞「強がっちゃって」
「ちょっ、止め…」
姉さんが俺の頬をつついてくる。
「一緒に来てくれれば良かったのに…」
舞「ごめんね。将太が熱出したんだもん」
「もう元気なのかよ?俺の甥っ子は」
舞「少し下がったし…旦那が帰って来てくれたから見ててくれてる」
「そっか…」
深い溜め息を付くと…姉さんがベッドに腰掛ける。
舞「お兄ちゃんの命日はいつも荒れるわね…」
「………だって…今日は…」
舞「父さんから聞いた。居たんでしょ?お兄ちゃん殺した人」
「………姉さんも冷静だな」
舞「冷静な訳ないでしょ。許せないわよ」
「だったら…」
舞「父さんがね…よく言ってたの。『私のせいなんだ』って…」
「父さんが…?」
舞「………修。貴方はまだ4歳だったから覚えてないし…父さんに『物心が付いたら私から話す』って言ってたけれど…もう聞いてもいいのかもしれないね」
「何…?」
舞「父さんに聞きなさい。それとね…私はこう思ってる。お兄ちゃんは…幸せだったって」
「………何言ってんだよ。殺されたんだぞ!?」
舞「そうね。私も許す事は出来ない。でも…お兄ちゃんは…愛を貫いて…愛した人と天国へ旅だった。だから…幸せだって…そう思うの」
「姉さん…」
「お父さんと話しなさい。修」
真剣な眼差しで俺を見つめる姉さん…。
兄さん…兄さんは…幸せだったの?
頭を抱える俺の肩に…姉さんの優しい手がそっと触れた。