第3章 抗争勃発
引退式は滞りなく、そして派手に執り行われた。
誕生日席に座ったじぃちゃん。
その右隣に父ちゃん。
左隣には松本組組長。潤の親父さんが座ってる。
潤や松本組長はじぃちゃんの媚び売りに必死になっていて…見ているこっちが痛々しかった。
「早く帰りてぇ…」
侑李「ぼん。駄目ですよ」
笑いながら侑李が隣でおいらに囁く。
「分かってるけどさ…」
この後は…次の会長候補を決める。
何人かの候補者の中から…時間を掛けて話し合い、決まらなければ投票制になる。
一応ヤクザの世界も表向きは民主主義なんだ。
会長が使命する事も出来るけど…そんな事したら揉めるのは目に見えてるからやらないのが暗黙のルール。
多分今から…候補者が選出される。
会長「今日は私の為にお集まり頂いて…本当に感謝する。この老人の為にこんなに集まってくれて…華々しく引退する事が出来た。礼を言う」
一同が静かに頭を下げる。
会長「そこで皆も気になってると思うが…次の会長候補だが…」
「………」
ピーンと部屋が緊張感に包まれる。
会長「候補者を募るのではなく、直々に使命したい。大野。お前達に昇龍会を任せる」
智父「え…」
「は!?」
会場がざわつく。
ちょっと待て…どういう事!?
会長「大野…お前なら間違いない。そして智」
じぃちゃんがおいらに視線を向ける。
「は…」
会長「お前がその跡を継げ。昇龍会をまとめろ。お前にはその器がある」
「いや、ちょっと待って…待って下さい」
会長「私の最後の頼みだ。受けてくれるな」
智父「会長ちょっと…。まずは候補者を募るのがうちの仕来たり…」
会長「私は智に継がせたい。だから智に譲るのだ。だから大野。お前が会長になって智にバトンタッチしろ。話は以上だ。解散」
じぃちゃんが立ち上がり、部屋を跡にする。
慌てて俺の親父や松本組長、現組長達が慌てて跡を追う。
侑李「大野さん…これって…」
「………どうすんだよ…」
和「………戦争が…おきますね…」
にのを見ると…微かに微笑みを浮かべながら天井を見つめていた。
潤「ふざけんな…ふざけんなよ!!認めねぇぞ!!」
ガシャンとテーブルをひっくり返しながら潤が立ち上がった…。