第3章 抗争勃発
潤「とんだ茶番だこんなの!俺は認めねぇぞ!!何でだ…何でお前なんだよ!!」
血走った目をおいらに向けながら潤は俺に掴みかかって来る。
「放せよ」
潤「会長に何した?どんな手使った?汚ぇぞ!!」
「何もしてねぇよ。おいらだって驚いてんだ」
潤「嘘付け!何か姑息な事やったんだろ!!でなきゃお前なんかに跡目継がせようなんて思わねぇだろ」
潤がおいらのシャツを掴む。
侑李「止めて下さい!」
侑李と二宮、松本組の組員が止めに入る。
潤「離せよ!殺してやる!!殺してやる!!」
「離せよもう…」
松岡「松本のぼん。止めて下さい」
父ちゃんに着いて出て行っていた松兄がいつの間にか戻って来ていた。
多分騒ぎを聞き付けたんだろう。
人だかりを掻き分け、おいら達の前に立つ。
松岡「手を離して下さい」
潤「うるせぇ…指図すんな!!」
松岡「失礼ですがこうなった以上…会長の意向は受け入れないといけません」
潤「何だと…?」
松岡「うちの組長が…半年を目処に昇龍会会長に就任する事を…先程了承しました」
潤「何…!?」
松岡「ご意見があるなら伺います。しかし正式な形でね。ご納得は頂けないかと思いますが…本日はお引き取り下さい」
落ち着いた…けれど圧のある口調にその場は静まり返る。
潤の手が…ゆっくりおいらから離れる。
潤「………このままで済むと思うな。次期会長は松本組だ。大野組なんかに任せてなんかいられるか。こんな決め方…これがどういう事か…お前ら分かってんだろ」
松岡「その時は…命(タマ)張るだけですから」
潤「………いい度胸だな松岡…それでこそやり甲斐があるってもんだ」
薄気味悪い笑みを浮かべながら…潤は組員を連れて部屋を出て行った。
部屋には大野組の組員だけが残る。
「はぁ…」
侑李「大野さん!」
溜め息を付きながら座り込むおいらを侑李が支える。
「父ちゃん了承したってマジかよ…」
松岡「そうでもしないと収まらないでしょう。しかし簡単に就任出来るとは…誰も思ってませんよ」
「………だよな…」
これから昇龍会の歴史に残るかもしれない大きな争いが起こるだろう。
その先の事を考えながら…おいらは暫くそこを動けなかった。