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雪の華【気象系BL小説】

第23章 番外編ー潤と和也ー


会長を送った後、俺は病院へと向かった。


あの日から…毎日通い続けた病室への道のり。
もう目を閉じていても分かる程だ。


病室に入ると見張りの若衆が俺に頭を下げる。


「すまないな」


組員「いえ。では外に出てますので」


「ああ」


若衆が出て病室には…和也と2人きりになる。


「和也。遅くなってすまないな。今日は…大野の墓参りに行ってたんだ。あいつと…あいつの恋人の櫻井の墓参りだ。一周忌だって…早いな」


和「………」


椅子に腰掛け和也の手を取る。
今日も…和也は動かない。


「やっとあいつらに会いに行けたよ。立派な墓だったよ。大野組長と櫻井の父親が建てたらしいんだ。2人だけの場所をってな」


和「………」


「俺も…お前と一緒に墓に入りてぇな。許されるなら…。なぁ…どう思う?」


和「………」


「墓に入る前に…もう一度話したい。お前の声が聞きたいんだ。和也」


和「………」


「声が聞きたい。笑顔が…見たい。伝えたい言葉があるんだ。聞いて欲しいんだよ…」


1年前と変わらず…その小柄な身体はピクリとも動かない。


「和也…起きてくれ…頼む…」


和也の手を撫でながら…俺はそっと…その冷たい唇にキスをした。
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