第23章 番外編ー潤と和也ー
後部座席に並んで座りながらも…俺達は特に会話も無く、帰路を進んでいた。
自宅まで残り半分程の所で会長が口を開く。
会長「そういえばあいつの目は…覚めたのか」
「いえ…」
会長「そうじゃろの。頭撃たれて助かっただけでも儲けもんじゃ。それにしても惜しかったの松岡」
「………」
会長「………わしも早く引退したかったのにな。任せられる奴等が皆死におった」
「………」
会長「………これからどうするつもりじゃ潤」
「………松本組を継ぐ気持ちは変わりません。昇龍会を継ぐという気持ちも」
会長「ほう」
「でも今のままじゃ…俺には…松本組には無理です。だから…変わってみせます」
会長「お前に出来るのか潤」
「やってみせます。やらないと…それこそあいつに示しがつかない。あいつ…この俺に言ったんですよ。『お前は器がある』って。ボコボコに殴られた後にこの俺に…。だから…俺が死んだ時…恥ずかしくない様に…やってみせます」
会長の目が…俺を捉えて離さない。
俺もその視線から離さずに見つめ返した。
会長「………お前変わったの」
「………」
会長「この1年お前を見てきた。確かにお前は変わったな。昔はそんな目は…してなかった。わしの好きな目だ」
「………」
会長「見ておるぞ潤。やってみろ。しかしわしも歳じゃからの。長くは待てん」
「はい」
俺は深々と頭を下げ、会長を送り届けた。