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雪の華【気象系BL小説】

第21章 雪の華


ー智sideー


「うわ…降って来た…」


大学の門まで辿り着いたのと同時に少しずつ…雪が降り始めた。


「上着持ってくれば良かったなぁ…まぁ翔くんとくっついてればいいか…ふふっ」


待ち合わせの場所までは約200メートル。
そこまで緩やかな上り坂になってる。
それを越えたあの場所で…翔くんがおいらを待っている。


やっと…やっと翔くんに逢える。
早く逢って抱き締めたい。


早足で向かっていた時だった。


『あ、あぁぁっっ…!』


静寂の中、いきなり誰かの叫び声が聞こえる。


「何だ…?」


そして再び訪れる静寂。


声は…翔くんのものでは無いけれど…確実に翔くんが居るであろう場所から聞こえて来た。


………胸騒ぎがする。
おいらはその場所まで全力で駆け出した。


「はぁっ…はぁっ…翔くん…!」


待ち合わせの場所には…誰も居ない。
暗闇が広がるだけだった。


「翔くん!?しょ…」


そして気付いた。
その暗闇の中に…黒い影がある事を。
アスファルトに転がるその影が何か分かった時…おいらは言葉を失った。


それは…あの扉の前で横たわる…おいらの愛する…翔くんの姿だった。


「………翔くん!!翔くん!!!」


駆け寄って抱き起こすと…翔くんは全く動かなかった。
そして辺りに籠る血の匂い。
一面が…血の海だった。


「嘘だろ…何で…何でっっ!!」


おいらは翔くんを抱き締めたまま…何度も叫び続けた。


「翔くんっっ!!翔っっ!!!」


翔「………」


「翔くん…?」


微かに動いた翔くんの手。
やがてゆっくりと…彼の瞳が開いた。
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