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雪の華【気象系BL小説】

第20章 2人の道


ー智sideー


「父ちゃんちょっといい?」


ノックして部屋を覗くと長瀬と父ちゃんが話をしているところだった。


智父「いいぞ。入れ」


長瀬「じゃあ自分はこれで…」


「長瀬も聞いて欲しい」


立ち上がる長瀬を制止する。


長瀬「………じゃあ…失礼します」


頭を下げて長瀬はまた座り直した。


智父「………何の話しかは…分かってるつもりだがな」


「そうか。だったら早いな」


長瀬の隣に座り、父ちゃんと向かい合った。


「………おいら明日出て行くよ。暫くは…戻って来れないと思う」


智父「………」


長瀬「………」


智父「………盛大な結婚式らしいな」


「うん」


智父「本当に…やるんだな」


「うん。すげー迷惑掛けると思うけど…ごめん」


智父「うちの事は気にするな。しかし大勢の前でやるとなると…櫻井も黙ってないだろう。息子を家に閉じ込め海外にやる程の事をする男だからな。覚悟はあるのか?」


「はい」


智父「そうか。ひとつだけ…約束して欲しい」


「何?」


智父「戻って来い。1年先でも半年先でも10年先でも…。お前と翔くんの帰る場所はここにあるんだ。だから…いつか戻って来い。智」


「はい…!必ず」


おいらの父ちゃんて…こんなにいい男だったっけ?
この時は…本当に格好よく見えた。


「長瀬。大野組を頼む。お前なら大丈夫だから」


長瀬「ぼんが帰って来た頃には胸を張って逢える様に…必ず」


「うん」


おいらが頷いたのと同時に…ポケットの携帯が音を立てる。
発信元は…公衆電話だった。


「………公衆電話…?」


誰だ…こんな時間に公衆電話からなんて…。
おいらはタップして電話に出た。


「………もしもし?」


翔『………智くん?智くん…!』


「翔くん!?」


電話口から聞こえてきたのは…明日逢う筈の愛しい人の声。


翔『智くん…。俺…出て来た。やっと…出て来れた』


「翔くん…今どこ?」


翔『………智くんの大学の近くのコンビニ…』


「………分かった。じゃあ大学で待ってて?いい?」


翔『………あそこで待ってる。俺達が…出逢った場所』


「分かった。すぐ行くから」


翔『待ってる』


そしてすぐに通話は切れた。


「翔くん…!」


おいらは勢いよく立ち上がった。
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