• テキストサイズ

雪の華【気象系BL小説】

第20章 2人の道


ー智sideー


『今夜から関東地方は雨。所により雷雨でしょう…』


「通りで寒いんだな…」


リモコンでテレビの電源を切る。
そのまま寝転がり、天井を見つめた。


………翔くんと引き離されてもうすぐ2週間。
全く連絡が取れないまま月日は流れていく。


もしかしたら…外との連絡手段を完全に断たれているのかもしれない。


ふと、壁に掛かったカレンダーを見る。
後…2週間後。
10月26日。


新聞に大々的に取り上げられていた翔くんと安部総理大臣の姪御さんとの結婚式。
帝国ホテルで行われるそれは恐ろしい程の招待客で…盛大に行われると一面に取りざたされていた。
そしてその後は…将来の勉強の為に海外で暮らすと。
正に…お父さんの言っていた通りの展開になっていた。


「その日しか…無いよな…」


結婚式の会場。
そこで…翔くんを連れ出す。
もうそれしか無い。
それに…あの父親にはそれ位がいいダメージだ。


大切な人の父親だからと…好きになろうとした。
翔くんがしてくれた様に。
でも…駄目だった。
それどころかあの人は…翔くんを閉じ込め、力で捩じ伏せて…最後の最後まで自分の思い通りにしようとしている。
大切な息子の筈なのに…。
おいらは…もうあの人を許せない。


遠慮はしない。
奪ってやる。
翔くんと2人で…何処かに行こう。
2人だけの世界へ。


「何かドラマみたいだな…」


考えるとちょっと笑えた。
結婚式で恋人に奪われる花嫁のシチュエーション。
おいらがやるなんてな。
しかも花嫁じゃなくて花婿。
おいらの…最愛の花婿。


おいらはその日まで…静かに待った。
ただひたすら…待った。
/ 260ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp