第20章 2人の道
長い廊下の先を曲がると何人もの松本組の組員達が立っている。
近付いて行くおいらと長瀬を見つけると、一瞬構えた様な素振りを見せる。
長瀬「松本のぼんは中だな」
松本組員「あ…いや…」
「入らせてもらうから」
組員を押し退け病室へと入る。
潤「………」
ピッ…ピッ…
電子音が響く病室の真ん中。
沢山の管に繋がれたまま横たわる二宮の手を握る潤が居る。
「潤」
黙ったまま潤はおいら達の方を見つめた。
潤「………葬儀は…終わったのか」
「さっきな」
潤「………出席出来なくて…すまない」
「いいよ」
虚ろな瞳でおいら達を見つめた後、視線が二宮の元に戻る。
二宮は…奇跡的に一命はとりとめた。
けれど…長瀬が撃った弾が二宮の脳を損傷していた為…意識が戻る可能性はかなり低い事、戻っても…障害が出る可能性がある事を医者に告げられた。
それでも…生きている事だけで奇跡だと…告げられた。
潤「大野」
「ん?」
潤「和也を返してくれて…感謝してる…バラされても仕方なかった和也を…」
「………いや…」
潤「帰って来いって…言ったのに…。俺は…いつの間にか追い詰めてた。和也を…」
「………」
潤「すまない…本当にすまない…」
「潤!」
潤がおいら達の前で土下座をした。
あの松本潤が…。
プライドの塊のあの男が…。
潤「俺の事は…好きにしてくれ…」
「潤…止めろよ…」
長瀬「では…望み通り」
「長瀬?」
長瀬が静かに潤の前に立った。