第19章 引き裂かれた2人
車を駐車スペースに停めて車を降りる。
松岡「ぼん歩けますか?」
怪我をしているおいらを隣で松兄が支えてくれる。
「ありがと。大丈夫」
ゆっくりと門をくぐり、屋敷に入る。
「面倒掛けるな松兄」
松岡「何をおっしゃいますか」
「今は少しでも長く姉ちゃんと一緒に居たいだろ?もうすぐ産まれるんだし。おいらの可愛い甥っ子が」
松岡「まぁそうですが…これも仕事ですし…大事な弟の為ですから」
「ふふっ、そっか…兄貴だよな」
松岡「はい」
他愛ない会話をしながら玄関に入ると…廊下の奥からふらふらと…こちらに近付いてくる人影があった。
「………二宮…?」
松岡「………」
和「………見つけた…大野のぼん…」
「お前…まだ…」
和「だって仕事終わってないですもん。最後の俺の仕事が…」
「………仕事…?」
和「潤さん…昇龍会の座を…貴方に…」
そして二宮の懐から拳銃が取り出され、おいらの元に銃口が向いた。
「!!!」
松岡「ぼん!!」
「ぐっ…!!」
パンという音と共に肩に響く鈍痛。
それと同時に後ろにいた松兄がおいらを引っ張り体制を入れ替える。
パンパン、と数発の銃声が鳴り響き、松兄越しに衝撃が伝わってきた。
「ま…まつ…」
松岡「っっ…ぐ…!!」
正面からおいらを抱き締める様に松兄はその大きな身体で…二宮からの銃弾を浴びた。
やがて…今までの出来事が嘘だったかの様に…辺りに静けさが広まる。
松岡「ぼん…お怪我は…」
「そ、そんな事より松兄…」
松岡「よかった…無事みたいです、ね…」
そのまま松兄は…おいらに覆い被さる様に倒れた…。
「ま、松兄ーーーっっっ!!!」