第19章 引き裂かれた2人
「松兄…松兄!!」
おいらの上で…松兄は荒い呼吸を繰り返していた。
和「邪魔すんなよ…。でも丁度良かったかもね次期組長殺れたから。後は…産まれてくる子供始末すれば…本当に終わりだね」
そう呟きながら二宮が近付いて来る。
「二宮…!」
奥の方からバタバタと足音がする。
和「よいしょ…さっさと終わらせないとね。あんたチャカ何処にやったの」
二宮が松兄の腹を蹴る。
「止めろ二宮!」
和「うるさい。早く終わらせて帰るんだ。潤さんのとこに…」
そう言って松兄の身体をすくい上げる様に蹴り上げ、おいらの隣に仰向けに転がした。
その瞬間、二宮の顔が強張る。
松岡「舐めんなよ…クソガキ…」
そう呟く松兄の腕の中にいつの間にか収まってる銃。
パァンという音と共に二宮が仰け反った。
そして二発目は二宮の背中へ。
和「潤…さ…」
そのまま二宮は倒れた。
起き上がると廊下で銃を構えていた長瀬が駆け寄って来る。
長瀬「ぼん!兄貴!!」
他の若衆も一斉に駆け寄って来る。
「松兄!!」
起き上がったおいらは隣に倒れている松兄を抱き抱える。
松岡「げほっ…」
長瀬「早く救急車呼べ!!」
『呼んでます!』
長瀬「兄貴!!しっかりして下さい!!」
床に…どんどん血の溜まりが出来ていく。
「松兄…しっかり…!」
松岡「……三奈…は…」
長瀬「姉さんは今組長と外出に…」
松岡「そうか…げほっ…伝えてくれないか…子供を…頼むって…」
「松兄…何言ってんだよ!こんなの大した怪我じゃない!!」
松岡「長瀬…」
長瀬「は、はい…」
「後は…頼むぞ…もう…お前しか…いない…」
長瀬「兄貴そんな…!!」
松岡「ぼん…櫻井さんと…幸せに…」
「止めろ松兄!!松兄!!」
『兄貴!!』
松岡「………三…奈…」
ふっと…松兄が笑った気がした。
そしてそのまま…松兄の手が…コトリと床に転がった。