第19章 引き裂かれた2人
ー智sideー
翔くんの居ない部屋で…おいらは男達に押さえ付けられたままでいた。
ゆっくりと…お父さんが近付いて来る。
翔父「貴様…よくも翔を…」
「ぐっ!!」
思いきり顔を踏みつけられる。
翔父「二度と翔には近付かせない。もう一生…お前は翔には逢わせない。お前は住居浸入と強姦の罪に問われる。翔への接近禁止令も…出してやる」
「………そんな…」
翔父「あいつには来月結婚式が控えてる。お前も観ただろお見合いの席で。安部総理の姪御さんの…美樹さんと結婚するんだ」
「……… 」
翔父「本当に出来たお嬢さんだ。翔には勿体無いよ。息子が男なんぞにたぶらかされても…そんな息子でも良いと、引き離してくれるのを待ってるとおっしゃってくれたんだ」
ぐりぐりと…お父さんの足がおいらの顔に食い込む。
翔父「結婚したら暫くは海外にある別宅の屋敷で生活させる。そしたらもうお前とは永遠におさらばだ」
「どうして…そこまで…」
翔父「警視総監の息子がホモなどと恥さらしもいいとこだ。しかも…大野の息子だなんて…。何とか手遅れになる前にと思ったが…お前は…翔を奪った…絶対に許さない」
お父さんの視線がベッドへ向く。
そこには…俺が翔くんの純潔を奪った証が…しっかりと残っていた。
翔父「しかし全て今日で終わりだ。お前も…大野組も潰してやる」
「俺の事は…ムショにでもぶち込んでくれても構いません。でも翔くんの事…これ以上追い詰めないで下さい。貴方の事で翔くんがどれだけ…」
翔父「ヤクザに説教される筋合いはない。おい、連れて行け。警察が来るまで逃がすなよ」
『はい』
「待って…!話を聞いて下さい!!」
そのままおいらは…警察に引き渡されるまで別の部屋へと閉じ込められたのだった。