第15章 愛する人の為に
ー智sideー
「ふぅ…」
大きな門の前で深呼吸する。
やっぱ…でけぇ家だな…。
大学に行くと嘘を付いてやって来た翔くんの家。
2人で来る前に…どうしてもおいらは1人でここに来たかった。
でも…大きな屋敷を前にして緊張はMAXで。
インターホンを鳴らすのに勇気がいった。
暫くウロウロしていると…奥の屋敷の扉が開き、誰かがこちらに向かってやって来る。
「あ…」
執事の影山さん…。
頭を下げると…彼も頭を下げながら門を隔てておいらの前へと歩いて来た。
影山「大野様。いかがなされました」
「あの…翔くんのお父さんに会いたくて…」
影山「旦那様は只今留守でございます。しかしながら後1時間程でご帰宅なされますゆえ…中でお待ちになられますか?」
「あ…はい」
影山「ではこちらへどうぞ」
門が開き、おいらはそこを通り抜け、影山さんと一緒に屋敷まで歩いた。
「あの…おいらが来たのよく分かりましたね」
影山「監視カメラでございます」
「あ…なるほど…」
影山「翔様は…お元気にしておられますか」
「はい。元気にしてます」
影山「………それを聞いて安心いたしました」
「………こんな事になってしまって…」
影山「それは旦那様とお話になられて下さいませ」
「すみません…」
そのまま影山さんに連れられ、おいらは屋敷の中へと入って行った。