第15章 愛する人の為に
ー和也sideー
「………どうですか?」
潤「ん…何とか…」
両手を動かしながらぼっちゃんは満足した様に頷いた。
あの日から数ヶ月。
ぼっちゃんの怪我は驚異的な早さで回復をした。
少し引きずりながらでも自分の力で歩く事が出来た。
包帯も取れた。
けれど…大野の銃弾で失った小指が…痛々しい。
俺は彼の手を取り…その小指にキスをした。
潤「お前のお陰だよ」
「いえ…俺は何も…」
潤「付きっきりで看病してくれたからな」
「俺がやりたかったからです…」
潤「来い」
腕を引かれ、そのまま唇が重なる。
「ん…んぅ…はぁ…」
彼の舌が深く絡まる。
久し振りに味わうぼっちゃんのキスに…俺は蕩けそうな程酔った。
彼にしがみつき、舌を絡め返す。
部屋に響く水音。
身体が熱い…。
ゆっくりと唇を離すと…銀色の糸が垂れる。
潤「全開になったら…ちゃんと抱いてやるからな」
「はい…」
潤「お前はそろそろ戻れ。実家に戻るって理由はアホのあいつらにもそろそろ通用しなくなるぞ」
「でも…」
潤「あれから大野組もまた変わってるかもしれないからな。いいネタあったら持って来い。いいな」
「………はい…」
潤「今度こそ…叩きのめしてやる。大野智…」
耳元で…ぼっちゃんが静かに呟いた。
「………何処までも着いて行きます…」
そう返しながら俺は今度は自分からぼっちゃんに唇を重ねていた。