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雪の華【気象系BL小説】

第14章 父と母の恋


エレベーターの中で…俺達は…ずっと抱き合っていた。


物心付いた頃から一緒に居た…陽子…。
名前の通り…今もずっと俺の太陽だった。


『優しく出来ないかもしれないぞ…』


翔母『優しくなんてしないで…守さんの全てが…欲しい…』


抱き合ったまま…エレベーターが最上階に着くのを待つ。


チンという音と共に…扉が開いた。


俺は…目の前の陽子に夢中で…完全に油断していたんだ。


目の前に立つのは…松本組の下っぱ組員。
銃を構えて待っていた。


『っっ…!』


組員『大野守!!死ねー!!』


翔母『守さんっっ…!!』


その瞬間は…まるでスローモーションの様だった。


陽子が…瞬時に俺の前に立ち…抱き着いて来る。


組員『うわぁぁーっっ!!』


パンパンと…鳴り響く銃声。


俺を抱き締めていた腕が…ズルリと力が抜ける。


『陽子っっ!!』


俺は目の前の組員の胸ぐらを掴み、床に叩き付ける。
動かなくなったこいつから銃を取り上げ、頭を撃ち抜いた。


回りを見ると…たったこいつ1人。
他に組員は居なかった。


くそっ…!!ザコかよ!!


『陽子!!陽子っっ!!』


翔母『ま、もるさ…』


瞬く間に床に血が広がる。


『嘘だ…嘘だ陽子…陽子!!』


翔母『ぶ…無事で…よか…た…』


『何言ってんだ!救急車…!誰か救急車…!!』


翔母『守さ…』


『ここだ。ここに居る』


翔母『お願い…私を…抱き締めて…』


血まみれのその身体を…俺は泣きながら抱き締めた。


『逝くな陽子…。頼む…』


翔母『守さんの腕の中で…死ねて…嬉しいなんて…母親失格よね…』


『死ぬなんて言うな!陽子!!』


翔母『守さん…愛して…ます…』


『っっ…愛してる…愛してる陽子…』


翔母『げほっ…守さ…』


『陽子…』


俺は…身体を屈め…その唇にゆっくりと自分のを重ねた。
初めて…陽子と触れ合った瞬間だった。


コトリ、と彼女の腕が…床に崩れる。
唇を離すと…彼女はそのまま…息絶えていた。


『陽子ーっっ!!』


エレベーターの中で…俺はずっと冷たくなっていく彼女の身体を抱き締めていたのだった。
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